薬物依存症とは
WHOが認定した病気
やめたくてもやめれない
「薬物はもう二度と使わない」と誓っても、また使ってしまう。家庭や仕事を失っても、逮捕されても、薬物をやめることができない。
それは、自分の意志では薬物をやめられない病気「薬物依存症」です。
薬物依存症は、薬物を繰り返し使うことで脳の快楽をつかさどる回路が正常に働かなくなり、自分で自分の欲求をコントロールできなくなってしまう病気です。WHO(世界保健機関)が認定した精神疾患で、決して意志の問題ではありません。
覚醒剤や大麻などの違法薬物だけなく、向精神薬や睡眠薬といった処方薬、咳止めやかぜ薬など市販薬でも引き起こされます。
「孤独の病」
「自分を大切にすることができない」「人を信じることができない」「本音を話すことができない」
薬物依存症の人にはこのような傾向が見られます。孤独や生きづらさを抱えながら誰にも相談することができず、薬物を使うことで心理的な苦痛が和らぐことから、薬物に依存するようになってしまうといわれています。
このため、薬物依存症は「孤独の病」とも呼ばれています。
依存症になりやすい人の特徴
■自己評価が低く自分に自信を持てない
■人を信じられない
■本音を言えない
■見捨てられる不安が強い
■嫌われる不安が強い
■孤独で淋しい
■自分を大切にできない
回復することができます
新しい生き方
薬物で変化した脳は元に戻らず、依存症が完治することはありません。ですが、薬物に頼らない新しい生き方を身に付けることで、社会生活を送ることができるようになります。
これを「回復」といいます。
回復のためには、薬物を使いたくなる心理的要因を取り除き、環境や人間関係を変えることが必要です。そのためには、依存症の専門病院や精神科病院、リハビリ施設、自助グループを利用し、適切な治療と支援を受けことが有効です。
依存症は完治しない病気のため、薬物を一定期間やめていても一度使えば再発してしまいます。このため、自助グループに通い続けることが大切になります。
正直な気持ちを話せる「仲間」
回復は、同じ薬物依存症の問題を抱えた「仲間」の存在が鍵を握ります。経験や思いを分かち合い、正直な気持ちを話すことができる仲間がいれば、薬物に頼る必要はなくなるからです。
薬物依存症の当事者である仲間がいる場として、回復のためのプログラムを提供しているリハビリ施設「ダルク」や、自助グループ「NA(ナルコティクス・アノニマス)」があります。